「転職エージェントって、本当に使った方がいいの?」——20代の転職相談でよく受ける問いです。ネットには「エージェントはゴリ押しがうざい」「大量に応募させられた」という声もあれば、「使ってよかった」という声もある。何が正しいのか、わからなくなっている方も多いと思います。

私はリクルートで人材エージェントとしてキャリアを積み、その後Surfieeを創業して272名のキャリア支援をしてきました。エージェントの内側を知っている立場から、20代の転職においてエージェントをどう使うべきか、本音でお伝えします。

20代の転職、エージェントなしで進めるとどうなるか

まず、エージェントを使わない場合の現実を整理します。転職サイトに登録して自分で求人を探す「直接応募」は、費用も手間もかからないように見えます。ただし、実際には次のような壁に直面します。

直接応募で20代がつまずく3つの壁

もちろん、自分でやれることは多い。ただ、20代の転職は「初めての転職」であることが多く、何がわからないかすらわからない状態でスタートします。エージェントは「転職市場のナビゲーター」として機能するため、うまく活用すると時間と精神的コストを大幅に削減できます。

エージェントの「裏側」を知っておく

エージェントを活用する前に、仕組みを正しく理解しておきましょう。知らないまま使うと「なぜこんなに大量に応募させられるのか」「なぜこの求人を勧めてくるのか」が腑に落ちず、不信感が生まれます。

エージェントのビジネスモデル

転職エージェントは、求職者(あなた)から費用を受け取りません。採用企業側から成功報酬(内定者の年収の30〜35%程度)を受け取るビジネスモデルです。つまり、あなたを入社させることで初めて売上が立ちます。

エージェントが「大量応募」を勧める理由

一部のエージェントが大量の求人への応募を勧めるのは、母数を増やして内定獲得の確率を上げるためです。エージェント側の都合で応募先が増えている可能性があります。「とにかく20〜30社応募しましょう」と言われたら、立ち止まって考えてみてください。本当に自分に合う10社を丁寧に受ける方が、結果的に良い転職になります。

「社内選考」が存在する

あまり知られていませんが、エージェントには「社内選考」という仕組みがあります。求人票を見てあなたが「応募したい」と言っても、エージェント側で「この候補者は合わない」と判断した場合、企業に送られないことがあります。逆に言えば、エージェントに「この人は通りそう」と判断してもらえれば、推薦文付きで企業に渡してもらえます。

この構造を知っておくと、「エージェントに自分の強みをきちんと伝える」ことがいかに重要かわかります。

20代と30代で、転職は何が違うのか

「30代になってから転職しよう」と考えている20代の方もいます。ただし、20代と30代では転職市場での見られ方がまったく異なります。

項目20代の転職30代の転職
採用側の期待ポテンシャル・成長性即戦力・マネジメント経験
職種チェンジ比較的柔軟に可能難易度が上がる
業界チェンジ異業界でも歓迎されやすい同業種・関連業種が中心になる
年収期待値大幅アップより「経験値」優先でOK現年収が基準になりやすい
重視される選考カルチャーフィット・素直さ実績・マネジメント能力

20代最大の武器は「可変性」です。「まだ経験が浅い」と感じていても、採用企業側は「これから育てられる人材」として前向きに評価します。この時期に転職することで、30代では難しくなる職種・業界チェンジも実現しやすくなります。

実例

大手商社2年・飲食店起業1年(年収300万)→ 大手人材会社 法人営業(年収460万)。20代だったからこそ「異業種×ポテンシャル採用」が通った事例です。

20代がエージェントを選ぶ3つのポイント

エージェントを選ぶ際、「大手だから安心」という判断だけでは不十分です。20代の転職に特化した視点で選ぶことが重要です。

ポイント 1

「若手に強いか」を確認する

エージェントによって得意なターゲット層があります。ハイクラス・管理職向けに特化しているエージェントに20代が相談すると、求人の選択肢が限られたり、担当者の経験値が合わなかったりすることがあります。「20代・第二新卒・若手キャリアアップ」の支援実績が豊富なエージェントを選びましょう。

ポイント 2

「誰が担当するか」を確認する

大手エージェントは担当者によって質が大きく異なります。経験の浅い担当者に当たると、的外れな求人を大量に紹介されることがあります。担当者の経歴・実績・得意領域を事前に確認するか、代表など特定の人物が直接担当するエージェントを選ぶと安心です。

ポイント 3

「転職以外の選択肢も話せるか」を確認する

転職エージェントは転職させることでビジネスが成立するため、「転職しない」という選択肢を示すエージェントは少数です。しかし20代の場合、転職以外(部署異動・副業・資格取得・社内起業)が最善策であることもあります。転職を前提にせず、フラットにキャリアを議論できるエージェントかどうかを最初の相談で確認しましょう。

20代が転職エージェントを最大限に活用する方法

エージェントに登録さえすれば転職がうまくいく、というわけではありません。活用の質が結果を大きく左右します。

① 最初の面談で「強み」を語れる準備をする

エージェントへの最初の面談は、就職活動の面接と同じくらい重要です。ここでエージェントがあなたの「推薦文」を書くためのインプットを得るからです。「自分の一番の実績」「転職の目的」「譲れない条件」を事前に整理してから臨みましょう。強みの見つけ方ガイドで事前に棚卸しをしておくと、面談の質が大きく変わります。

② 「何社受けるか」より「どこを受けるか」を自分で考える

エージェントが多くの求人を紹介してきても、すべてに応募する必要はありません。「なぜこの求人を紹介しているのか」を必ず聞いてください。「あなたの経歴に合うから」という理由が明確なら前向きに検討、「まずは数を出しておきましょう」という説明なら立ち止まっていいです。自分の軸を持って選びましょう。

③ 並行して直接応募も試す

「エージェント一択」でなく、気になる企業には直接応募も並行して行うことをおすすめします。特に、エージェントの取り扱いが少ないスタートアップや特定の業界では、直接応募の方が内定につながりやすいケースがあります。エージェントは「サポートの一つ」として活用する感覚が健全です。

④ 返信・日程調整はスピーディに動く

転職活動において、レスポンスの速さは選考の有利さに直結します。エージェントへの返信が遅いと、好条件の求人を紹介してもらえなくなることもあります。企業からの面接日程調整は24時間以内を目安に動くことを意識してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 転職を迷っている段階でもエージェントに相談していいですか?
まったく問題ありません。むしろ「迷っている段階」での相談が最も有益です。転職すべきかどうかをフラットに議論できるエージェントを選ぶことがポイントです。Surfieeでは「転職前提でなくてよい」ことを明示した上で、キャリア全体の方向性から相談に乗っています。
Q. 複数のエージェントに登録してもいいですか?
はい、一般的に2〜3社への同時登録が推奨されています。ただし、登録数が多すぎると各エージェントとの関係が薄くなり、かえって良い求人を紹介してもらえなくなることがあります。「量より質」を意識して、メインで信頼できる担当者を1人決める方が結果的にうまくいくことが多いです。
Q. 第二新卒でも転職エージェントは使えますか?
使えます。むしろ第二新卒は「エージェントを使うメリットが大きい層」です。職歴が短い分、職務経歴書の書き方や面接での「ポテンシャルの見せ方」でライバルと差がつきます。エージェントのサポートがあると、この差を最大化しやすくなります。
Q. エージェントに「この求人は合わない」と断ってもいいですか?
断って問題ありません。「理由を一言添えて断る」のが丁寧な対応です。「年収水準が希望と合わない」「業界の方向性が違う」と伝えることで、エージェントも次回の紹介の精度が上がります。断ることで関係が悪化するような担当者なら、そのエージェントを使い続けること自体を見直す判断材料にもなります。
Q. 年収アップを目指すなら、エージェントに任せた方がいいですか?
年収交渉はエージェントに依頼する方が有利です。直接交渉は「高望みしている」という印象を与えるリスクがありますが、エージェントが間に入ることで市場水準を踏まえた交渉ができます。ただし、最終的な意思決定はあなた自身が行うため、「どの水準が自分にとって妥当か」を事前にエージェントと共有しておくことが重要です。

まとめ

20代の転職において、エージェントは「使うか使わないか」ではなく「どう使うか」が問われます。仕組みを正しく理解した上で、自分の軸を持って活用すれば、転職活動の質と速度を大きく高められます。

この記事のまとめ

エージェントの選び方をさらに詳しく知りたい方は転職相談の活用ガイドも参考にしてください。強みの棚卸しから始めたい方は強みの見つけ方5ステップをお読みください。

「まず話だけ聞いてみたい」という方でも大歓迎です。Surfieeの無料相談では、転職前提なしでキャリア全体についてフラットにお話しします。

著者

元由 直樹

合同会社Surfiee 代表。キーエンス・リクルート出身。リクルートにて最終面接官・エージェント業務を経験後、MBA取得を経て起業。272名のキャリア支援、ストアカ満足度4.87★、OpenWork優良エージェント上位2%認定。若手キャリアアップ・強みの言語化を専門とする転職エージェント。