「営業成績は良い。でもM&A仲介の面接になると、なぜか通らない」——そんな相談を受けることがあります。

結論から言うと、M&A仲介の面接は「優秀か」だけでは決まりにくい選考です。現場では、一緒に働けるか/経営者に会社を預けられるか、そして転職理由 → なぜM&A → なぜこの会社の一貫性が合否を大きく左右します。

私はリクルートで事業承継・M&A事業の立ち上げに関わり、事業開発から営業・ディール推進まで経験し、成約にも関わってきました。採用側として面接も行ってきました。候補者側と採用側の両方から見たとき、落ちやすい人には共通点があります。

この記事では、一般的な面接対策の延長ではなく、M&A仲介特有の見られ方に絞って整理します。なお、M&A仲介が合うかどうかを含めて、最初から転職前提で固めなくて大丈夫です。

なぜM&A仲介の面接は「一般面接」と違うのか

M&A仲介の仕事は、売り手・買い手・自社の利害が交錯する場です。経営者の人生に近い意思決定に伴走するため、面接官が見るのは「頭の良さ」より、次のような実務適性に寄ります。

だからこそ、模範解答の暗記や、きれいな一般論だけでは足りません。仕事理解の深さと、自分の原体験に根ざした動機が問われます。

採用側の感覚

一次・二次は「次の面接官に、なぜこの人を上げるのか」を説明できる材料を探しています。最終に近づくほど、ロジックだけでなく表情・話し方・立ち姿といった感覚面の比重も上がります。最初の数分で心証が固まる、という現場感覚も少なくありません。

面接官が見ている評価軸

評価軸何を見ているか
第一印象・所作身だしなみ、言葉遣い、テンポ。カンペ読みや不自然な間はマイナスになりやすい
人間力優秀さより「一緒に働けるか」「経営者に預けられるか」
一貫性転職理由/なぜM&A/なぜこの会社が論理的につながっているか(最重要)
仕事理解仲介の顧客開拓・案件推進・利害調整を、抽象語ではなく具体で語れるか
再現性成果の羅列ではなく、刺さる1本のストーリーで武器が伝わるか

合否を左右する「一貫性の3点セット」

M&A仲介の面接でいちばん多い崩れ方は、個別の回答が悪くないのに、3点がつながっていないことです。

1

転職理由(なぜ今動くのか)

人間関係や労働環境への不満をそのまま言うと、早期離職懸念につながりやすいです。事実は正直に持ちつつ、成長したい領域・担いたい責任へ言い換えるのが実務的です。

2

なぜM&Aか(最重要級)

一般論・模範解答は見透かされやすいです。「社会貢献」「中小企業のため」だけで終わると弱い。原体験(勤務先や身近な会社のM&A、事業承継の現場に触れた経験など)と、なぜその手段が自分に最適かの検証ロジックをセットにしてください。

動機そのものは単純でも構いません。大事なのは、市場理解・働き方・求められる能力まで踏み込んで「だからM&A」と言えることです。

3

なぜこの会社か(軽視されがち・難問)

HPの一般情報(創業年・パイオニア・理念の言い換え)だけでは足りません。競合と比較したうえで、その社固有の強みを2〜3個語れるかが分かれ目です。社長の考え方や現場の営業スタイルまで調べた熱量が伝わります。

一貫性チェック(声に出して確認)

頻出質問で落ちやすいポイント

自己紹介

自己紹介の場で自己PRを長々始めないこと。経歴の要点を伝え、PRは後の質問に残します。1分版・3分版・5分版を用意しておくと、場のテンポに合わせられます。

職務経歴・成果

全部話すのは危険です。刺さる1ストーリーに絞る。圧倒的な数字がなくても、新規開拓・テレアポ・手紙・DMなど、仲介の顧客開拓に転用できる経験を逆算して語ると説得力が出ます。「何の武器でどう成果を出してきたか」を一言で言える状態が理想です。

タフネス・修羅場

実質はハードワーク耐性や覚悟の確認と捉えてよい場面が多いです。売り手/買い手、会社/顧客の板挟みにどう対処したか、感情ではなく行動と学びで語れると強いです。

長所・短所

長所はM&A業務に活かせる形で。短所は長所の裏返しで終え、克服策を具体にします。「営業力を活かしたい」だけだと、業務理解が浅いと見なされやすいです。

気になった案件・経営者対峙

ニュースの紹介で終わらず、なぜ譲渡・譲受に至ったかまで調べてください。経営者対峙については、「尊敬しつつ対等なパートナーとして、言うべきことを言える」スタンスが求められます。

逆質問

一発逆転はほぼなく、一発負けはあり得ます。HPで分かる「今後のビジョンは?」は避け、回答によって自分の入社後準備や意思決定が変わる質問を用意してください。なぜその質問をするかも一言添えると良いです。

よくあるNG

面接前チェックリスト

模擬面接前に確認する

よくある質問(FAQ)

Q. 未経験でもM&A仲介の面接は戦えますか?
戦えます。ただし「興味があります」だけでは足りません。顧客開拓や対人折衝、数字管理など、転用できる経験を1本のストーリーに落とすこと。あわせて、業界理解と「なぜこの会社か」の熱量で差がつきます。
Q. 「稼ぎたい」は動機として弱いですか?
動機そのものが単純でも問題になりにくいです。弱いのは、検証がないことです。なぜ他の営業職ではなくM&Aなのか、働き方・求められる能力・市場理解まで踏み込めるかがポイントです。
Q. 企業研究はどこまでやるべきですか?
HPの要約では足りません。競合比較、案件の特徴、営業スタイル、経営者の発言まで触れたうえで、自分の志向と接続してください。詳細手順は企業研究のやり方も参照してください。
Q. M&A仲介以外の選択肢も見た方がいいですか?
見た方がいいです。仲介以外にも、事業会社のM&A・経営企画、金融機関、コンサル等、近い仕事はあります。合う/合わないを先に整理した方が、志望動機も強くなります。転職前提にせず、まだ決めていない段階の相談から入っても構いません。

まとめ

M&A仲介の面接対策の核は、テクニックの暗記ではありません。

一般的な面接の型は転職面接対策の完全ガイドも合わせて読むと、準備の全体像が掴みやすいです。

なお、SurfieeではM&A仲介を目指してエントリーした方の内定率は100%です。まずは方向性の整理からで構いません。

方向性から整理したい方へ

M&A仲介が合うかどうかも含め、経験・価値観・選択肢をフラットに整理したい方は、ストアカの個別相談もご利用ください。志望が固まった方の面接対策・模擬面接にも対応しています。

著者

元由 直樹

合同会社Surfiee 代表。キーエンス・リクルート出身。リクルートにて事業承継・M&A事業の立ち上げに関わり、事業開発・営業・ディール推進を経験。最終面接官も務めたのち、海外MBA取得を経て起業。272名のキャリア支援、ストアカ満足度4.87★、OpenWork優良エージェント上位2%認定。M&A仲介を目指してエントリーした方の内定率は100%です。強みの言語化・キャリア棚卸しを専門とする転職エージェント。